Q1:定期健診の必要性について
A1:
一度治療が終了すると、また強い痛みがでるまで来院されない方がいらっしゃいます。う蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏:しそうのうろう)は病状がかなり進行してしまうまで、痛みがでない場合が多いです。早めに治療すれば 1~2回で終わるような状態を痛くなるまで放っておいたために6~7回の治療が必要になる。早めに治療すれば歯と同じ色の白い材料で済み、どこを治療したかわからないくらいきれいにできる状態でも、痛くなるまで放っておいたため(保険治療であれば)金属を使わざるをえなくなり、いわゆる銀歯になってしまう。こういうことがよくあります。痛くなるまで放っておく、我慢することは、結果的に回数もよけいにかかり、美しさも損なわれ、その後の歯の寿命も短くなり、何一つメリットがありません。人によって個人差はあると思いますが、短期間で悪くなってしまう方もいますので、2~3ヶ月に1回、もしくは6ヶ月に1回など、定期健診されることを、お勧めします。いつまでも、自分の歯で食事をとれる、ということは、とても幸せなことだと思います。
Q2:妊娠中のレントゲン撮影は、お腹に影響はないのでしょうか?
A2:
歯科治療のための診断に用いられるレントゲンは、基本的には微量のX線であり、撮る場所もお腹と離れた口の中です。また、X線を通さない鉛の入った防護エプロンを着ていただいて撮影しますので、お腹の赤ちゃんにX線の影響がでることはないと考えられます。ただし、実際上の影響よりは精神的な不安材料をつくらないという事などから、特に不安定期の妊婦には、避けたほうがよいと思われます。そのためには、妊娠中に、レントゲン撮影を必要とするような口の中にしないことが重要です。妊娠の可能性がある年代の女性は、定期検診などで口の中の状態を知り、虫歯や痛みの出る可能性が高い親知らずの歯などは、妊娠前に治療をしてしまう事を検討されればと思います。
Q3:歯磨きは、何で必要なの?
A3:
・う蝕(虫歯)の予防
・歯周病(歯槽膿漏:しそうのうろう)の予防
・付着物を除去することにより、上記の要因となる歯石が付着するのを極力防ぐ
・歯肉の血行を良くし、感染症に対する抵抗力を強める
つまり、歯磨きの目的は、歯垢(=プラーク:細菌の固まり)を取り除くことです。しかし現実には、歯磨剤(歯磨き粉)の清涼感や歯ブラシの感触にごまかされて、肝心の歯垢(プラーク)を確実に歯面から、こすり落としていない方が多いのが現実です。歯垢(プラーク)を落としていなければ、歯を磨いた事にはならないのです。
歯を磨くという事は、軽度の歯肉炎も短期間で治せる程、非常に効果的な治療法のひとつです。現実的な問題として、磨いているのに磨けていない、努力が報われていない場合が多いので、専門家によるアドバイスを受けて、より効果的な歯磨き方法を習得することをお薦めします。
Q4:歯ブラシはどのように選べばよいのですか?
A4:
う蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏:しそうのうろう)の原因となる細菌(バイ菌)は歯と歯との間や歯と歯肉(歯ぐき)のつぎめに定着して増えていきます。歯ブラシではそういった細菌がこびりついている”歯と歯との間や歯と歯肉のつぎめ”を掃除することが重要です。毛先が硬い歯ブラシだと歯肉が傷つきやすいので、毛先はできるだけ柔らかいものを選びましょう。歯ブラシメーカーの資料では、かための歯ブラシとやわらかめの歯ブラシとでは細菌を除去する効率はあまり差はありません。硬い毛先の方がきれいに磨けるというのではないのです。また、小回りがきくように、奥歯まで歯ブラシを届かせやすいように、歯ブラシの頭は割合小さめのものがよいでしょう。
Q5:歯磨剤(歯磨き粉)は使用したほうが良いですか?
A5:
主に、虫歯予防、口臭予防、歯肉炎予防が期待できます。フッ素やキシリトール入りの歯磨剤がいいでしょう。「歯を白くする」歯磨剤のなかには研磨剤が粗い・多いものがあり、歯をすり減らすことにつながりますのでお薦めしません。歯磨剤をつけすぎると、実際にはちゃんと磨けていないのによく磨けた気になってしまうことがあり、じっくり磨くにはつけすぎない方がよいでしょう。逆に歯磨剤をたっぷり使い(洗剤や研磨剤のない、もしくは少ない歯磨剤)、歯磨き後にうがいをせず、つばや歯磨剤をはきだすだけにして、歯磨剤の薬効を長く作用させるという磨き方もあります。
Q6:フッ素ってなんですか?
A6:
フッ素は、人間の体はもちろん、ほとんどの食べ物にも含まれている、自然のものです。身近なものには、緑茶、昆布、ワカメや紅茶などに含まれている重要な栄養素です。歯の成分であるリン酸カルシウムと反応して歯の質を強くし、虫歯に対する抵抗力を高めます。1回の洗口や歯磨きで口に残るフッ素の量は、毎日食べ物からとっているフッ素の量より少ないので安全です。
Q7:歯石は何故付着するのですか?
A7:
歯の表面は実際、口の中では一見きれいに見えても、染め出してみると、みがき残した歯垢(細菌の固まり)が付いているものです。細菌の固まりは歯と同じような色をしているので、どのくらいついているかは染め出してみないことにはわかりにくいでしょう。みがき残しの多いところは
・噛み合わせるところの溝のなか
・歯と歯の間
・歯と歯肉の境目
です。時間が経過するにつれて、みがき残した歯垢はどんどん硬くなり、こびりついてしまって歯石となるのです。また、歯石の表面は粗いのでその上にさらに歯垢が付着しやすくなります。歯石となるとブラッシングでは除去できなくなってしまうので、歯垢のうちに除去してしまいましょう。
Q8:自分で歯石を取ってもいいの?
A8:
いろいろな器具が売っていますが、自分で歯石を取ろうとすると、歯肉を痛め傷をつけてしまうことになります。また、自分自身で除去できるのは口の中のごく一部分に限られます。きれいに除去するには歯科医院の専門職でないと困難でしょう。現在は、PMTCといって、専門職が専用の機械、器具を使って、歯面をきれいに研磨することもおこなわれています。
Q9:喫煙はう蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏:しそうのうろう)に関係するの?
A9:
虫歯の発生には大きくは関わることはないと考えられていますが、進行を助長するといわれています。歯周病は様々な原因によって進行・悪化しますが、そのなかで最悪の因子が喫煙です。平均的な40歳の喫煙する人の歯肉の状態はタバコを吸わない人の50歳~60歳のタバコを吸わない人の歯肉の状態と等しいといわれています。影響は口の中だけにとどまらず、歯周病が悪化すると糖尿病や心臓病も悪化することあります。
Q10:歯髄(神経)をとった歯は、かぶせなくてはいけないの?
A10:
残っている歯の量がたくさんあれば必ずしもかぶせる必要はありません。ただし、実際には歯髄をとらざるおえないまで病状が進んだ歯は、健全な(健康な)歯の量がかなり少なくなっていることが多いです。健全な歯の量が少ない歯については、歯の内部を金属や樹脂などでしっかりと補強し、咬む力を歯全体で受け止めることができるようにするため、金属などでかぶせることが推奨されています。
Q11:総義歯だと味わからないの?
A11:
食事の味は舌の味蕾(舌の表面にある味覚の受容器)で感じるのですが、義歯をいれることによって、口の中の多くの部分が義歯で覆われてしまい温度、味覚、舌ざわりなど十分感じられなくなります。その結果として味が変化したり、美味しくなかったり、冷たい熱いがわかりにくくなります。義歯を金属を多用して作成することで温度を感じやすくしたり、厚みを薄くしたり、覆っている部分を少なくすることができますので、よりおいしく感じることのできる義歯になります。あとは義歯に関係なく、高齢に伴う味覚の減退喪失です。(大人の舌で味蕾は10.000個あるといわれ、思春期で最も多くなり50歳を過ぎると著しく減少していきます。
Q12:乳歯は、いつ抜歯したら良いですか?
A12:
基本的には、乳歯は永久歯が生える時期に自然に抜けるものですが、近年は顎の発達が小さいお子さんが多く,乳歯の真下からではなく横から永久歯が生えてきて乳歯がなかなか抜けないという事があります。そのようなときには、やはり歯科医院を受診され、時期が良ければ抜歯し、永久歯の生えるスペースを確保する必要があります。また、永久歯はまだ生えていないのに乳歯がぐらぐらしてきたら、歯科医院を受診され、3~6ヶ月ごとの定期検診で、乳歯の状態や生えてきた永久歯の状態を把握しておくことをお薦めします。
Q13:なぜ歯ぎしりをするのですか?
A13:
歯ぎしりは、精神的に緊張していたり、疲れた時、またストレスがたまっている時に強く出ます。また、咬合(咬み合わせ)が悪いことが原因となることもあります。歯ぎしりをする時は、体重以上のすごい力で噛んでいるため、顎関節症にもなりやすくなります。治療法としては、マウスピースという透明な装置を付けることで治る人もいますので、そういうかたは早めに対処したほうが良いでしょう。ひどくなると、指一本も口が開かなくなります。
Q14:なぜ歯並びが悪くなるのですか?
A14:
歯並びが悪くなる原因としては、先天的なものと、後天的なものがあります。まず先天的に原因のある場合は、遺伝因子によるものです。そのために、お子さんにも、その傾向が出やすくなります。次に、後天的に原因のある場合は、乳歯のケアが悪くなったために発症するものがあり、虫歯、指しゃぶりなども原因になります。また、最近、よく子供が噛まないので、顎の発育が不十分のため、歯列不正となってしまいます。やわらかい食物でもよく噛むことが重要です。
Q14:同じ治療を受けたのに支払った治療費が異なるのはなぜでしょうか?
A14:
保険治療では、一見同じ治療のように見えても治療した部位やう蝕(虫歯)の場所や付随する処置の組み合わせによって治療費が変わってくることがあります。(保険治療であれば厚生労働省の規定による料金です。)